就職活動の面接では、何か特別なことを言わなければいけない」「難しいビジネス用語を並べて、すごそうに見せなければいけない」
そんなふうに思い込んでいる学生さんが、今でも少なくありません。
でも、実は人事担当者が見ているのは“そこ”ではないのです。むしろ逆で、「聞きかじりの知識を披露されても、あまり響かない」というのが正直なところ。
今回は、面接における本当のポイントや、企業が学生にどんなことを求めているのかを、実体験や当時の就職活動の背景も交えながら、お伝えしたいと思います。
面接官は“等身大のあなた”を見ている
企業の面接官、とくに人事担当者は、日々多くの学生と向き合っています。もちろん、経験も豊富です。そのため、ありきたりな言葉や、どこかで聞いてきたような知識にはすぐに気づきます。どんなに立派なことを言っても、表面的であれば、すぐに見抜かれてしまうのです。
それよりも、面接官が本当に知りたいのは、あなたが「どんな経験をして」「そのときどう考え、どう行動したのか」「そして、そこから何を得て、どう成長したのか」という“プロセス”の部分です。
たとえば、こんな話があります。
小さな経験にこそ“人間力”が現れる
ある学生は、アルバイト先でちょっとした問題に直面しました。シフトの仕組みが自由すぎて、みんなが休みたい時期に休めず、現場が混乱していたそうです。
そこで彼は、仲間たちと話し合い、新しいルールを一緒に考え、店長に提案しました。結果、その提案は採用され、職場は改善されました。
一見すると些細なエピソードに見えるかもしれません。でも、この中には多くの力が詰まっています。
• 問題に気づく「課題発見力」
• 周囲を巻き込み、意見をまとめる「協働力」
• 上司に提案をする「主体性と勇気」
こうした力こそ、企業が求めている“社会で活躍する土台”なのです。別に大きな成果である必要はありません。むしろ、こうした小さな実体験から“どんな姿勢で物事に向き合ってきたか”を語れる人のほうが、面接官の印象に強く残ります。
難しい言葉や知識のアピールは逆効果になることも
よくあるのが、就活生が「ビジネスを知ってます」「経営視点を持ってます」と言わんばかりに、難しい横文字や業界用語を連発してしまうケースです。
もちろん、勉強していること自体は素晴らしいのですが、それが“アピールのためだけ”になってしまうと、本来の自分が見えなくなってしまいます。
企業の人事は、学生が社会経験がないことは当然知っています。だからこそ、「いま何を知っているか」ではなく、「これまでどう生きてきたか、これからどう成長していくか」を重視するのです。
“素直さ”と“行動する力”が、最も評価される
私は、自身の就職活動を「就職氷河期」と言われた時代に経験しました。今のように情報もネットワークも充実しておらず、まさに“手探り”での就活でした。
そんな中でも、もし今と同じ知識や視点を当時持っていたら、きっと半分の期間で内定を得ていたと思います。
それほどまでに、「企業側の視点を知ること」「背伸びをせず、自分らしさを伝えること」は重要なのです。
特別な経験がなくても構いません。すごい成果がなくても問題ありません。
自分が「そのとき何を考え、どう行動したのか」。
その素直な気持ちやプロセスこそが、企業にとっては一番知りたいことなのです。
「自信のなさ」こそ、成長のチャンス
就活中は、どうしても「自分には何もない」「他の人の方が優れている」と感じてしまいがちです。でも、それは決して“ダメなこと”ではありません。
むしろ、「まだ何も知らない」「まだ未熟である」と認められる素直さを持っている人の方が、社会に出てから確実に成長します。
なぜなら、素直な人は、
• 周囲の意見を聞ける
• 課題に対して謙虚に向き合える
• 改善しようと自発的に動ける
という“伸びしろ”を持っているからです。
最初から完璧である必要はありません。むしろ、最初から完璧だと思っている人ほど、入社後に壁にぶつかりやすいとも言われています。
就活は“戦い”ではなく、“未来の自分と出会うプロセス”
就活は「選ばれるための場」ではありますが、同時に「自分自身を知る機会」でもあります。
「自分にはどんな強みがあるのか」
「どんなときにワクワクし、どんなときに悩むのか」
「どんな人と働きたいのか」
そうした“自分の本音”と向き合うことができれば、きっと納得のいく選択ができるはずです。
最後に:相手を知り、己を知ることの大切さ
有名な兵法書『孫子』に「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」という言葉があります。これは、まさに就活にも当てはまります。
企業側の視点(=相手)を理解し、自分自身のこと(=己)を深く掘り下げる。
この2つができていれば、就活は決して怖いものではありません。
どうか、難しい言葉や“すごそうな自分”を演じることにとらわれず、小さな経験にこそ自信を持ってください。
あなたらしい言葉で、あなたらしい行動を、素直に語る。
それが、面接で一番伝わる“あなたの魅力”なのです。
自信を持って、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
最後に:ここでも相談を受け付けています
もし、就職活動で悩んでいたり、次にどう動けばいいか迷っているなら、ここで相談してくれても大丈夫です。
コメント