【就職氷河期世代のリアル⑧】アグレックスで放った会心の一撃!ひらりとかわされた

就職氷河期

7月になっても決まらない日々

私が就職活動をしていた当時、すでに大半の企業は一次募集を終えていました。周囲の同級生たちも、早い人は春のうちに内定を決めており、キャンパスの空気はどこか焦燥感に包まれていました。

そんな中、7月に入っても私はスーツを着て企業を回り続けていました。毎日が面接と筆記試験の繰り返し。まるで終わりのないマラソンを走っているような感覚でした。

今でも強く記憶に残っているのが、「アグレックス」という企業との出会いです。

出会いは“二次募集”だった

アグレックスはすでに一次募集を終えていたものの、追加で“二次募集”を行うという情報をキャッチ。なんとかエントリーを済ませ、綺麗なオフィスで会社説明を受けることができました。

説明会のあとの筆記試験。これがまた、想像以上にしんどかった。頭をフル回転させながら問題に取り組み、ヘトヘトになりながらもなんとか通過。

「よし、次は面接だ」と、自分を鼓舞しながら臨んだ一次面談。そこでの出会いは、今でも忘れられません。

若くてバリッとした社員との面談

面接官として現れたのは、若手の社員さん。スーツをビシッと着こなし、ハキハキと話す姿に、正直圧倒されました。

「かっこいいな……こういう人になりたいな」

そんな憧れを抱きつつ、少し緊張しながらも面談が始まりました。でも不思議と、話していくうちに緊張はほぐれ、これまでの面接の経験もあってか、自然とテンポよく会話が進んでいきました。

自分でも驚くほど、面接官と意気投合していたと思います。

「君みたいな人材を探していたんだ」

面接の中で、こんな言葉をかけられました。

「実は、君みたいな優秀な人材を採るために、うちは二次募集をしてるんだよ」

その瞬間、胸が熱くなりました。これまでの就活で、こんなに手応えを感じたことはなかった。何かが「ここだ」と感じさせてくれたのです。

面接を終えて帰る道すがら、気分はまさにノリノリ。内定をもらったような気分で、足取りも軽く帰路につきました。

しかし、待てども連絡は来ず…

その日から、私は携帯を肌身離さず持ち歩きました。「いつ内定の電話が来るのか」と、期待に胸を膨らませていました。

しかし、1日経ち、2日経ち、3日経っても連絡はありません。

「まぁ、きっと選考に時間がかかっているだけだろう」と思い、こちらから電話をしてみると──

「まだ結果が出ておりませんので…」

うん、そうだよね。あの手応えで落ちるはずがない。余裕の気持ちで電話を切りました。

でも、1週間経っても連絡はなし。

そして──届いたのは、まさかの「お祈りメール」。

オーマイガー! 祈られたーー!

もう叫びたい気持ちでした。

「うそだろ!? なんであれで落ちるんだ!? 俺、めっちゃ手応えあったのに!!」

まさに、自信満々の“会心の一撃”を放ったつもりが、相手に“かわされた”ような感覚。

頭が真っ白になるとは、まさにこのことです。

何がダメだったのか。

話しすぎたのか? ノリすぎたのか? いや、そもそも最初から落とすつもりだったのか?

考えても答えは出ません。でも、その時の気持ちは、今でも鮮明に覚えています。

「この戦い、終わらねぇな」

何社目の不採用通知だったか、もう数えるのもやめていた頃でした。

でも、負けたとは思わなかった。というより、負けたくなかった。

「こんなんで終われるかよ! オラオラオラ、どこまでもやってやる!」

もはや自分でも、疲れているのかテンションが高いのか、わからなくなっていました。

でも、不思議と涙は流れなかった。ただひたすらに、次へ、次へと進むしかありませんでした。

あの経験が、今の自分を作っている

20年以上が経った今、あの就活の記憶は、ただの「つらかった思い出」ではありません。

自分を強くし、諦めない力をくれた原点だと感じています。

たとえどれだけ手応えがあっても、結果が伴わないことはあります。

でも、それでも人は前を向いて進んでいくことができる。

あの夏、アグレックスの面談で感じた“高揚感”と“挫折感”。

それは、就職氷河期という過酷な時代を生きた証であり、人生の大きな財産でもあります。

いま、就職活動をしている若い人たちへ。

たとえ今がつらくても、そこで得た経験は必ずあなたの未来につながっています。

どんな結果でも、自分を信じて進み続けてください。あなたの道は、あなたが切り開いていくのです。

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