私は、いわゆる「就職氷河期」と呼ばれる時代に新卒での就職活動を経験しました。
当時は企業の採用枠が非常に少なく、内定を得るのは本当に厳しい時代でした。しかし、今振り返ると、厳しい時代だったことに加えて、自分自身の面接での振る舞いや準備不足も失敗の要因だったと、強く感じています。
このブログでは、過去の自分の失敗から得た気づきを、「今、就職活動をしている学生のみなさん」へ向けて、面接官や人事担当者の視点も交えてお伝えしたいと思います。
社会人っぽく振る舞うのは逆効果。学生らしさが一番の魅力
面接の場では、「しっかりした印象を与えたい」「できるだけビジネスっぽく見せたい」と思う気持ちは分かります。しかし、面接官や人事担当者は、数多くの学生を見てきており、「無理をしているな」「背伸びしているな」というのはすぐに分かります。
特に学生が陥りがちなのが、「社会人経験があるかのような」言い回しやアピールの仕方。たとえば、「多面的に物事を捉えて」「多角的に分析して」など、どこかで聞いたような言葉を並べても、そこに自分の経験が伴っていなければ、何も伝わりません。
むしろ面接官が知りたいのは、**あなたが「どんな経験をして」「何を感じ」「そこからどんな行動をし」「どんな学びを得たか」**という、あなた自身の思考や行動のプロセスです。たとえば、
「私はアルバイト先でリーダー的な立場を任され、最初はうまくいかなかったが、徐々にメンバーと対話を増やすことで信頼を得て、最終的にはスタッフの意見をまとめる役割ができるようになりました。」
このように、自分の体験から「どう考え、どう行動し、何を得たか」を素直に伝えることが、最も評価されるのです。
バズワードに頼らない。あなたの言葉で語ることが信頼につながる
私自身の過去を振り返ると、当時は「多面的に物事を捉えて~」とか、「論理的思考力を活かして~」といった、どこかで聞いたような言葉ばかりを使ってしまっていました。
結果として、「この学生は、自分の考えを自分の言葉で話せないのかな」と思われた可能性が高いと感じています。さらに、面接官の質問にも的を射た答えができず、難しい単語を使ってはぐらかしてしまっていた記憶があります。
「分かりやすく」「誠実に」「具体的に」話すことが、何よりも大切です。バズワードで自分を飾るより、自分の体験や価値観をきちんと伝えた方が、はるかに印象に残ります。
海外経験をどう伝えるか:行動と学びを軸に話そう
私は学生時代、短期の海外留学を経験しました。しかし当時の私は、それをうまく言語化して伝えることができませんでした。ただ「行ってきました」という事実を話すだけでは、面接官の心は動きません。
今だったら、次のように話せていたと思います。
「海外のボランティア活動に参加した際、現地の人と協力して課題を解決しようとしたのですが、単に英語力の問題だけでなく、文化の違いや価値観の差に直面しました。そこで私は、まず相手の考え方を受け入れ、対話を重ねることで関係を築く重要性に気づきました。この経験から、異文化理解と協働の難しさ、そして楽しさを学びました。」
このように、「文化的な違いにどう対応したか」「どんな行動を取り、どんな結果になったか」「その経験を今後どう活かしたいか」といった視点で伝えられると、面接官は「行動力」「柔軟性」「学習意欲」を感じ取ることができます。
企業研究と仕事理解の不足は命取りになる
もう一つ、私が大きく失敗したと感じているのが、**「企業がどんな仕事をしているか」「自分がなぜその仕事をしたいのか」をきちんと説明できなかった」**という点です。
面接では必ず、「なぜ当社を志望したのですか?」「入社後はどんなことをやりたいですか?」という質問があります。このときに、具体的な仕事のイメージがないと、説得力のある回答はできません。
特に私はソフトウェアエンジニア志望だったにも関わらず、当時は「そもそもエンジニアが日々どんな仕事をしているのか」「3年後、5年後にどんなスキルを身につけていくのか」といった、業界や職種に関する基本的な知識すら不足していたのです。
社会人に聞く・調べるという行動が差を生む
学生のうちに社会人経験を積むことはできませんが、「情報を集める」という行動なら、今すぐにでもできます。
実際に働いている人に話を聞いたり、企業のIR情報や職種紹介記事を読んだりすることで、リアルな仕事の姿が見えてきます。
たとえば、「入社1年目の仕事」「プロジェクトの進め方」「リーダーになるまでのステップ」などを調べておくだけでも、面接での回答に深みが出ます。
最後に:昔の自分に伝えたいアドバイスを、あなたに
私は今になって、「あのとき、こうしておけば…」と思うことがたくさんあります。
でも、そういった経験があったからこそ、今このように学生の皆さんへアドバイスできているのだとも思います。
就職活動は、自分を知り、自分の言葉で語り、相手に伝える訓練の場です。
そして、社会人になる前に「何が足りないのか」を気づくための貴重な機会でもあります。
今、この瞬間の自分にしか語れないエピソードや価値観を、あなた自身の言葉で伝えてください。
その誠実さと姿勢こそが、面接官や人事担当者の心を動かす、何よりのアピールになります。
この記事が、今まさに就職活動をしているあなたのヒントになれば幸いです。
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