社会人としてのキャリアを築くにあたって、最も大切なことは何でしょうか。
私は「本当にやりたいこと」を見つけることだと考えています。
たとえば、
• 建築の図面を描くのが好きだ
• 建築の現場で実際に建物をつくりたい
• ソフトウェアエンジニアになってシステム開発に関わりたい
• 経理業務において、数字の美しさに魅力を感じる
• サーバー運用に興味がある
• スポーツの世界で活躍したい
――こうした「心から惹かれる分野」が、キャリアデザインの出発点になります。
もちろん、最初に選んだ道を一生続けなければならないわけではありません。
途中で職種や業界を変えることも、決して悪いことではないでしょう。
ただ、人間が長い時間をかけてキャリアを築いていくうえで、少なからず興味を持ち続けられる分野を選ぶことが、非常に大切だと私は思うのです。
興味がないことに対して人は集中力を発揮できません。
これは、たとえ元々の能力が高かったとしても、苦しい環境では力を十分に発揮できないことを意味します。
一方で、もともとの基礎能力が多少低かったとしても、興味がある分野であれば驚くほど成長できる。
よく「好きこそ物の上手なれ」と言われるように、好きなことに取り組む時、人は自然と努力を積み重ねることができるのです。
実際に社会に出てからも、集中力を欠き、キャリアの方向性に迷い、時間を浪費してしまっている人を見かけることがあります。
その多くは、「本当にやりたいこと」「心から興味があること」を見つけきれていないケースです。
逆に言えば、自分が夢中になれる分野を見つけ、そこにハマることができれば、たとえ人並み程度の能力であっても、ぐんぐん成長していくものです。
それほどまでに、最初の「分野選び」はシンプルかつ重要なテーマなのだと感じています。
もしこの選択を間違えると、日々の仕事が苦痛になり、「なぜ自分は周りに劣っているのだろう」「なぜうまくいかないのだろう」と悩み続けることになってしまうかもしれません。
だからこそ、キャリアの出発点で「何を選ぶか」を、真剣に考えるべきだと思うのです。
「ハマれるものを見つける」のも一つの才能
本当にやりたいことを見つけること――これは、ある種の才能とも言えるかもしれません。
たとえば、子供の頃から何かに夢中になった経験がある人。
それがスポーツであれ、音楽であれ、コレクションであれ、またはオンラインゲームであれ。
「誰に何を言われてもやり続けた」という経験を持つ人は、自然と自分の興味の方向性をつかむ感覚が磨かれています。
実際、私自身も子供の頃は虫取りやサッカーに夢中になり、高校・大学時代にはバンド活動にのめり込みました。
最初は「モテたい」という軽い気持ちで始めたバンド活動でしたが、続けるうちに単なる動機を超えて、音楽に本気で向き合うようになっていきました。
こうした経験を通じて思うのは、理由は何であれ、「熱中できる経験」がとても大事だということです。
興味を持ち、何かにのめり込んだ経験は、後の人生で大きな財産になります。
自分の「ハマりやすいもの」「のめり込める方向性」を自然と見極める力につながるからです。
2000年代初頭、IT業界の時代が来ると感じた
私がキャリアを考え始めた2000年前後、日本社会ではIT革命が本格的に始まろうとしていました。
1995年にWindows 95が登場し、パソコンやインターネットが一気に普及し始め、世の中が大きく変わろうとしていた時期です。
就職活動を始めるにあたって、私は次のような考えを持っていました。
1. これからはITの時代が来る
2. 技術力を持てば、手に職をつけることができる
3. ITスキルがあれば、将来もっと良い会社に転職したり、良いプロジェクトに関われる
4. 技術は常に進化しており、変化が激しいので飽きることがない
こうした背景から、「これはもうソフトウェアエンジニア一択だ」と、直感的に思ったのです。
正直、自分の判断が絶対に正しいかどうかは分かりませんでした。
しかし、それまでにいろいろなことに熱中してきた経験のおかげで、「自分がハマりそうなもの」を選び取る感覚(いわば”選球眼”)が養われていたのだと、今では思っています。
最後に
キャリアを考えるうえで、難しく考えすぎる必要はないと思います。
大切なのは、自分が本当に興味を持てるものを探し出し、それに少しでもいいから触れ続けてみること。
そして、仮に道を間違えたと感じたとしても、柔軟に方向転換する勇気を持つこと。
この2つさえ意識できれば、きっと自分らしいキャリアを築いていけるはずです。
未来を切り拓くために、まずは「本当にやりたいこと」を見つけることから、はじめてみませんか?
【補足:参考になる社会背景】
• 1995年:Windows 95発売、インターネット普及のきっかけに
• 2000年前後:日本でも携帯電話・インターネット利用が急速に拡大
• 2001年:ITバブル崩壊(ただしIT産業はその後も成長)
• キャリアデザインという言葉が注目され始めたのもこの頃
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