【世代別比較】就職氷河期世代の年収はなぜ低いままなのか?バブル世代・Z世代との違いを徹底解説

就職氷河期

はじめに

いま40代後半〜50代に差し掛かっている「就職氷河期世代」。

彼らは長らく「不遇の世代」と呼ばれてきましたが、なぜこれほどまでに年収や生活環境に差が生まれてしまったのでしょうか。

本記事では、就職氷河期世代の歩みを振り返りながら、上のバブル世代、下のZ世代と比較し、年収面での違いや背景を丁寧に解説していきます。

時代背景を知ることで、現在の日本社会が抱える「世代間格差」の実態も見えてきます。

就職氷河期世代とは?厳しすぎた時代背景

まず、「就職氷河期世代」とは1970年代前半〜1980年代前半生まれの人たちを指します。

彼らが新卒で就職活動をしていた1993年〜2005年頃、日本はバブル崩壊後の長期不況に突入していました。

1999年には有効求人倍率が過去最低の0.48倍に落ち込み、大学を出ても内定が一つも取れないのが珍しくない時代だったのです。

企業は採用枠を絞り、そもそも募集自体を行わないところも多くありました。

正社員になれず、やむなくフリーターや派遣社員として社会に出た人も数多くいました。

こうした「キャリアのスタート地点」でのつまずきが、後々まで大きな影響を及ぼすことになります。

【年代別】就職氷河期世代の仕事と年収推移

20代(1995年〜2005年頃):非正規が当たり前の時代

厳しい就職活動の末、ようやく見つかった仕事も、非正規雇用が中心でした。

当時、20代後半の就職氷河期世代の平均年収は約250〜300万円程度とされます。

正社員になれた人でも、初任給は18万〜20万円台が一般的でした。

「新卒カード」を活かせなかった彼らは、正社員になろうと転職を試みても、「正社員経験なし」というレッテルを貼られ、書類で落とされることも多かったのです。

30代(2005年〜2015年頃):遅すぎたキャリア形成

30代に入ると、正社員に転職できた人もいましたが、スタートの遅れを取り戻すことは容易ではありませんでした。

2000年代後半のデータでは、就職氷河期世代の30代後半の平均年収は約370万円前後。

同じ年代で見ると、バブル世代は420〜450万円程度の年収が一般的だったため、明確な格差が存在していました。

さらに、管理職への昇進ルートも若い頃の評価や実績に左右されるため、昇格が遅れ、結果として40代以降の年収にも影響を及ぼしました。

40代(2015年〜現在):格差の固定化と将来不安

40代を迎えた現在、氷河期世代の40代後半の平均年収は約415万円とされています。

一方、バブル世代(現在50代後半)は、同じ年代で平均約477万円を記録しています。

約60万円以上の差が、同じ企業に勤めていても存在しているのが現実です。

しかも、正社員以外の非正規雇用として働く氷河期世代も少なくありません。

派遣や契約社員では年収200万〜300万円台に留まることが一般的で、経済的な格差はさらに広がっています。

バブル世代との年収格差:逃げ切り世代との違い

バブル世代(1950年代後半〜1960年代前半生まれ)は、卒業当時、有効求人倍率1.5倍超という超売り手市場の中で就職活動を行いました。

経済が右肩上がりだったため、企業は大量採用を行い、入社すれば年功序列で毎年給料が上がっていきました。

住宅手当・家族手当なども手厚く、退職金もしっかり支給されるコースが標準だったのです。

その結果、バブル世代の50代後半時点の平均年収は約477万円と高水準を維持しています。

一方、就職氷河期世代は、若い頃の雇用機会が限られたため、スキルアップや昇進のチャンスも少なく、給与水準が全体的に低く抑えられたまま固定されてしまいました。

Z世代の年収:少子化の恩恵を受ける若者たち

Z世代(1990年代後半〜2000年代生まれ)は、ここ数年の「売り手市場」の中で就職活動を行いました。

• 2021年の有効求人倍率:1.16倍

• コロナ禍でもIT・医療・物流など特定業界は人材不足

• グローバル化により、若手優遇の流れが強まる

こうした背景もあり、Z世代の25〜29歳の平均年収は約371万円とされています。

かつての氷河期世代よりも、初任給やキャリアの選択肢に恵まれているのが特徴です。

たとえば、大手IT企業では、新卒から年収600万円超を提示するケースも増えており、特にAI・エンジニア系では初年度年収700万円超も珍しくなくなっています。

まとめ:世代間格差をどう受け止めるか

このように、バブル世代、就職氷河期世代、Z世代を比較すると、

• 「生まれた時代」「就職したタイミング」

• 「社会全体の経済状況」

• 「企業の採用方針」

が、年収格差に大きな影響を与えていることがわかります。

決して「個人の努力不足」だけで埋められる問題ではありません。

むしろ、社会全体が構造的な問題として受け止め、特に就職氷河期世代に対しては、再チャレンジの機会や支援策を充実させていく必要があるでしょう。

未来に向けて、誰もが希望を持てる社会にしていくために。

過去の不公平を直視しつつ、新たな道を共に切り開いていきたいものです。

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