コンサルティングファームへの「記念受験」から見えた世界

転職

— 多様な働き方と価値観の交差点で感じたこと —

はじめに

私はかつて転職活動の中で、いわゆるコンサルティングファームへの挑戦を「記念受験」のような気持ちで経験しました。

本気で内定を取りにいったわけではなかったのですが、この経験は、自分がどういう価値観のもとで働きたいのかを深く見つめ直すきっかけとなりました。

今回はその時のことを、個人の体験談として丁寧に振り返ってみたいと思います。コンサル業界に興味がある方や、転職活動を考えている方にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。

アビームコンサルティングとの出会い

最初に足を運んだのは、アビームコンサルティングの会社説明会でした。

アビームは、もともとデロイトトーマツコンサルティングの流れを汲み、2003年に日系として独立した総合コンサルティングファームです。製造業や流通、金融など幅広い分野で実績があり、日本企業に根差した支援が強みとされています。

説明会は都内のきれいなオフィスビルで行われ、最初はワクワクして臨みました。ところが、その空気は少し意外なものでした。

登壇した方は、アメリカでMBAを取得し、現在はマネージャーとして活躍されているとのこと。しかしその話の内容は、キャリアパスや業務内容の説明というよりは、**「僕はいかにすごいキャリアを歩んできたか」**という自慢話に終始しているように感じられました。

当時の私は、まだ20代後半。肩書きや学歴に対するコンプレックスもあったかもしれませんが、**「この人たちと一緒に仕事をするのは、少ししんどそうだな…」**と感じてしまい、その場で応募を見送る決断をしました。

今思えば、そこにいた社員さんは、自分の努力や成果に誇りを持っていたのだと思います。でも私には、その熱量が少しばかり「暑苦しく」感じられてしまったのかもしれません。

アクセンチュアでの面接体験

次に訪れたのがアクセンチュアでした。

言わずと知れた世界有数のグローバルコンサルティングファームで、テクノロジーを軸にした支援に強みを持つ企業です。近年では**DX(デジタルトランスフォーメーション)**分野でも先頭を走っています。

アクセンチュアの面接では、1次から最終まで、さまざまな社員の方々と話す機会がありました。業界の話から世の中の動向、論理的思考のトレーニングなど、多くの学びがあったのは確かです。特に2次面接までは、フランクで知的な会話が多く、好印象でした。

しかし、最終面接で出会ったある人物とのやりとりが、強く印象に残っています。

その方は50代と思しき男性で、「オーストラリアでバリバリやってた頃の話」を語りながら、「寝ないで働けるか?」「僕みたいにできる?」というようなスタンスで、こちらに圧をかけてくるタイプでした。

私はもともとテンションが低めで、根性論とは少し距離を置きたい性格です。そうした価値観のズレもあり、心の中でそっと「この世界は向いていないかも」と思ってしまいました。

「人」から見える企業文化

このように、私のコンサルティングファームへの挑戦はどちらも結果的にご縁がなかったわけですが、どちらの経験も**「人から見える企業文化の違い」**を体感する貴重な機会でした。

コンサルティングファームという業界は、成果主義・実力主義が色濃く、そして個人の裁量も大きい分、自己主張が強い人も多い傾向にあります。それは決して悪いことではなく、むしろそのような文化の中で成長したいという人には最高の環境なのだと思います。

一方で、私のように「静かに物事を進めたい」「チームで支え合いながらやっていきたい」というタイプにとっては、やや刺激が強すぎる世界でもありました。

過去の経験との照らし合わせ

実は、私はかつてアーサーアンダーセン(現在のベースは一部がアクセンチュアやKPMGなどに引き継がれています)と一緒に仕事をしたことがあります。彼らとの協業は非常に楽しく、ロジカルで、かつ人間的なやりとりが印象的でした。

しかしその一方で、IBMコンサルティングのプロジェクトに関わった際は、「体力勝負で全てを解決する」ようなカルチャーに圧倒され、「これは自分には無理だな…」と強く実感した記憶もあります。

こうして振り返ってみると、同じ“コンサル”という名前がついていても、会社ごとに文化も空気感もまったく異なるということがよくわかります。

転職活動は「相互の見極め」の場

私がコンサル業界を「記念受験」した理由のひとつは、自分の市場価値を確認してみたかったからでもあります。ただし、面接というのは**「企業が応募者を見る場」であると同時に、「応募者が企業を見る場」**でもあるということを強く実感しました。

相手の熱量や価値観に触れることで、**「自分はどんな働き方をしたいのか」**を改めて考えることができました。たとえ内定には至らなかったとしても、それだけでも意味のある時間だったと思います。

おわりに:多様な世界を知ることの価値

今回の記録はあくまで一個人の体験談にすぎません。コンサルティングファームには、志を持って活躍している素晴らしい方がたくさんいらっしゃいますし、企業ごとの雰囲気も日々変化しています。

ただ一つ言えるのは、「転職活動を通して自分に合わない環境がわかること」もまた、大切な収穫だということです。

いろんな世界を少しずつ覗いてみることで、自分の価値観や働き方のスタイルを磨いていけたら、転職活動は成功といえるのではないでしょうか。

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