転職活動を振り返ると、いくつか印象深い企業との出会いがありました。その中でも特に記憶に残っているのが、参天製薬とのやりとりです。
参天製薬といえば、一般には目薬のCMなどで知られているかもしれませんが、実際には眼科領域に特化した医薬品メーカーとして国内外で高く評価されている企業です。売上規模は当時で約3,000億円と、いわゆる大手製薬企業と比べれば控えめな数字かもしれません。しかし、その規模に対してグローバル展開が非常に積極的で、特にアジア市場や欧米への進出が進んでおり、「面白そうな企業だな」という第一印象を強く持ったのを覚えています。
転職活動をしていた当時、私にとって企業選びの軸は単に「知名度が高い」や「待遇が良い」といった表面的な要素ではなく、その企業の中長期的なビジョンや、これからどんな世界を目指しているのか、そして自分がその中でどう関われるかという点でした。そういった意味で、参天製薬は非常に魅力的な存在でした。特に、グローバル展開に本気で取り組む姿勢や、社内制度がしっかり整備されていることが伺える情報に触れるたび、「こういう企業で働けたら」と期待が膨らんでいったのです。
書類選考から一次、二次と面接が進み、幸運にも最終面接までたどり着くことができました。企業としても、年々採用意欲が高まってきている時期だったようで、採用のハードルが少しずつ下がっているという話も耳にしていました。自分自身も転職活動に対する感覚が磨かれ、面接での対話の質が上がっていた時期だったと思います。
ただ、最終面接に臨む段階で、一つだけ気になっていたことがありました。それは、配属予定となる業務の内容が、ソフトウェアに限らずハードウェアも含めた技術職だということ。私はそれまで、どちらかというとソフトウェア開発に軸足を置いてキャリアを歩んできたため、ハードウェアに関わる業務はほぼ未経験。さらに、プロジェクト開発というよりも、運用・保守的な性質の業務になると説明を受け、少し迷いが生じました。
性格的に「守り」の仕事より「攻め」の仕事、つまり新しいものをつくったり仕組みを立ち上げたりすることの方にやりがいを感じるタイプなので、「自分に合っているだろうか?」という疑問がどうしても消せなかったのです。
とはいえ、当時の私は「まずは良い企業に入って、生活を安定させたい」という思いも強く持っていました。環境を変えたいという願望と、将来のキャリア設計への思いが交錯する中で、覚悟を決めて最終面接に臨みました。
最終面接では、先方の面接官とじっくり対話することができました。その中で、仕事内容や会社の方向性について具体的な説明があったのですが、話を聞いていくうちに、私自身の気持ちに変化が生じたのを感じました。「やはり、自分の志向と少し違うかもしれない」と。
そして、それは先方にも伝わったのでしょう。面接の終盤、面接官の方がこう言ってくださいました。
「たしかにあなたの経験や能力は魅力的です。ただ、今ご説明した仕事の内容と照らし合わせると、お互いにとってベストな選択ではないかもしれませんね」
その言葉に、私は心から納得しました。とても誠実な対応で、むしろ感謝の気持ちすら湧いてきたほどです。その場でお互いに「今回はご縁がなかったということで」と結論を出し、面接は静かに終了しました。
結果としては不採用でしたが、清々しい気持ちで面接会場をあとにしたのを覚えています。そしてこの出来事をきっかけに、「企業に選ばれること」だけを意識するのではなく、「自分自身が企業を選ぶ視点」も同じように大切だということを、改めて実感しました。
幸い、その頃から他社での面接もいくつか決まり始めており、転職活動は少しずつ次のフェーズへと進んでいきました。
最後に
参天製薬とのやりとりは、結果として「ご縁がなかった」という結末でしたが、丁寧で誠実な企業文化に触れ、私自身も面接という場を通じて多くの学びを得ることができました。
転職活動においては、単なる合否以上に、自分と企業との「相性」を感じ取ることが大切なのだと実感しています。
これから転職を考えている方にも、ぜひ「自分に合った企業とは何か?」という視点を大切にしていただけたらと思います。正解は一つではありませんし、時には「不採用」という結果の中にこそ、大きな気づきがあるものです。
下記は参天製薬の会社分析
⚫️売上:緩やかに上昇
⚫️営業利益:緩やかに上昇


⚫️年収:緩やかに上昇

ワークライフバランス:良さそうです


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