【就職氷河期世代の就職】はじめてのプログラミングと社会人としての第一歩

就職氷河期

仕事内容を誤解していた

私が初めてプログラミングに触れたのは、大学卒業後、社会人として最初の会社に入社する前のことでした。内定が決まり、入社までの期間に「C言語を勉強しておくように」と課題が出されたのです。当時の私は、プログラミングというものを完全に誤解していました。テレビや映画で見るような、画面に次々と表示される文字列を打ち込む“タイピングゲーム”のようなものだと思い込んでいたのです。

しかし、実際に学び始めると、まったく違う世界がそこにありました。

プログラミングとは何か?

プログラミングの本質は「機能を実現するための論理構築」にあります。求められる機能を細かく分解し、それぞれの要素を部品のように組み立てていく作業。まずはフローチャートなどでロジックを設計し、それに基づいてコードを書いていきます。このロジック設計やコーディングは、基本的に個人の裁量に任されている部分も多く、作り方は人によって千差万別です。

そのため、同じ結果を出すプログラムでも、書き方によっては処理速度が遅くなったり、バグが多発したりと、“使い物にならない”こともあるのです。良いロジックを設計できる人と、そうでない人との差は、思っていた以上に大きいと感じました。

技術オタクたちとの出会い

私が入社した会社は、半年間のしっかりした研修制度を用意してくれていました。ですが、周囲を見渡すと、既にネット対戦型のオセロゲームを開発していたり、セキュリティの穴を突いて他人のPCにアクセスしてしまうような“技術オタク”たちが何人もいて、驚きを隠せませんでした。

新卒で入社したメンバーの中で、私のようにプログラミング未経験の人は2割程度。つまり、8割以上の人が既に何らかの技術的素地を持っていたのです。正直、最初の数ヶ月はとても厳しかったです。「自分には無理なのではないか」と不安に駆られる日も少なくありませんでした。

しかし、半年間の研修を経て、ビジネスアプリケーションの開発やデータベースの基本的な知識を、なんとかキャッチアップすることができました。今振り返っても、あの研修期間は自分にとって本当にありがたい時間でした。ソフトウェアとは何か、プログラムはどのように作られ、動いていくのか、その本質に触れる貴重な機会だったと思います。

配属後の実務と成長

研修を終え、いよいよ現場に配属されると、先輩社員が作成した詳細設計書を元に、フローチャートを作成しながら実際にコードを書いていくという業務が始まりました。当初はVisual Basicという言語を用いていましたが、時代の変化と共にJavaや.NETといった言語にも対応するようになっていきました。

仕事に慣れてくると、自分で設計まで担当できるようになり、システムエンジニアとしての幅も徐々に広がっていきました。そして1年ほど経った頃、大阪ガスのERP(統合基幹業務システム)プロジェクトに、特定領域のリーダーとして参加するチャンスをいただきました。社外の200人規模のプロジェクトに、自社を代表してアサインされるというのは、大きな責任であると同時に、非常にやりがいのある経験でした。

仕事に「どハマり」

仕事が面白くてたまらない時期でした。もっと深く学びたいという思いが膨らみ、データベースの資格である「オラクルゴールド」の取得を目指して、寝る間を惜しんで勉強に励みました。平日は2~3時間しか寝られない日が続き、今思えば少しやりすぎてしまったのかもしれません。ある日、シャワーを浴びていると、頭皮がかなり透けて見えて驚いたことを今でも覚えています。幸い、今は髪も元通りになりましたが、あの頃は本当に“どハマり”していました。

それでも、努力が実を結び、より大きなプロジェクトへの参画機会も増えていきました。たとえば、ヤマハ発動機のプロジェクトではリーダーとしての役割を任されるなど、順調にステップアップしていきました。

若手時代を振り返って思うこと

こうして振り返ると、就職氷河期世代の就職活動の惨めな思いから一転して、自分の社会人としてのスタートは本当に恵まれていたと思います。未経験からスタートし、最初は何も分からなかった私が、半年間の研修を通じて技術を身につけ、現場で経験を重ねながらプロジェクトリーダーまで任されるようになったのですから。

ただ、それは決して“特別な才能”があったからではありません。支えてくれた先輩方や、学べる環境を用意してくれた会社、そして一緒に成長してきた同期たちの存在があってこそだと感じています。

また、技術は日進月歩で進化しますが、変わらないのは「学び続ける姿勢」と「自分の頭で考える力」の大切さです。フローチャートを描き、ロジックを考え、地道にコードを書いて動かすという行為は、ある意味で“創造”に近いものがあります。そこに自分なりの工夫や発見があるからこそ、プログラミングの世界は奥深く、面白いのだと今も感じています。

終わりに

このように、私のキャリアの始まりは、少し不安で、けれども非常に充実したものでした。未経験からスタートしても、真摯に取り組めば道は開けるということを、身をもって実感した経験でもあります。

これからIT業界を目指す方、あるいは今まさに駆け出しのエンジニアとして頑張っている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。そして何より、好きなことに夢中になれる環境があるというのは、本当に幸せなことだと思います。

あの頃の情熱を忘れずに、これからも一歩ずつ前に進んでいけたら――そんな気持ちで、日々の仕事と向き合っています。

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